「愛知のブランド牛を知っていますか?」——そう尋ねると、驚くほど多くの方が首を傾げます。岐阜の飛騨牛、三重の松阪牛は全国区の知名度を誇るのに、愛知県産のブランド牛「鳳来牛」を即答できる名古屋市民は、まだほんの一握りです。それなのに、鳳来牛の食べログ保存数は2,989件。知名度は低くても、一度知った人が黙って「行きたいリスト」に入れていく——そんな磁力を持った和牛が、愛知の山奥で静かに育てられています。
この記事では、名古屋・大須で「元祖レア牛丼」を確立したオーナーシェフ・後藤政之が、鳳来牛の正体から、その肉に惚れ込んだ理由、そして一杯の牛丼に込めた哲学まで、余すところなくお伝えします。
こんな方におすすめ
- ✅ 「鳳来牛」という名前を聞いたことはあるが、どんな和牛か知らない方
- ✅ 愛知産食材にこだわった、ここでしか食べられない一皿を探している方
- ✅ 接待や記念日に「話せるネタ」のある料理を選びたい方
- ✅ 飛騨牛・松阪牛に並ぶ東海のブランド牛の実力が気になる方
- ✅ 名古屋・大須エリアで本物の和牛体験をしたい方

鳳来牛とは——愛知奥三河が生んだ、年間300頭だけの奇跡
後藤政之が鳳来牛に出会ったのは、この店を立ち上げる構想を練っていた頃のことです。「愛知産の食材だけで一杯を完成させたい、という軸だけは最初から決まっていました。牛肉だけは妥協できない。そこで調べ始めたら、たどり着いたんです。奥三河に、こんな牛がいるのかと」と後藤は振り返ります。
鳳来牛は、愛知県北設楽郡(奥三河地方)で育てられる黒毛和牛のブランドです。現在、生産に携わる農家はわずか3戸。年間の出荷頭数は約300頭という、驚くほど小さな規模で生産されています。飛騨牛や松阪牛のように全国流通するシステムが整っていない分、地元・愛知でさえほとんど知られていない。それがこの牛の現実です。
では、なぜその希少牛を名古屋の牛丼専門店が扱えているのか。後藤が25年の業界経験をかけて構築してきた、産地との直接仕入れルートがその答えです。農家3戸と直接交渉を重ね、名古屋でこの牛を提供できる唯一の店として関係を積み上げてきました。「仲介を省いて生産者と向き合うことで、鳳来牛のありのままの価値をお客様に届けられる。それ以外の方法はないと思っています」と後藤は言い切ります。
酒粕飼育という選択——「蓬莱泉・空」が牛を変える
鳳来牛の個性を語るうえで、欠かせないキーワードが「酒粕飼育」です。生産農家が飼料に混ぜているのは、愛知が誇る名酒「蓬莱泉・空」の酒粕。設楽町の関谷醸造が醸した、幻とも呼ばれる日本酒の副産物が、牛の体をつくる飼料の一部となっています。
「酒粕を食べた牛の肉質がどう変わるか、最初は半信半疑でした」と後藤は正直に話します。「でも実際に仕入れて、焼いて、食べた瞬間に確信しました。サシの入り方が美しいのに、赤身の旨みが濃い。脂が甘くて、後味に嫌みがない。これは本物だ、と」。サシと赤身の両方の良さを持つ肉質は、一般的なブランド和牛の「どちらかに振り切る」傾向とは異なります。酒粕由来のアミノ酸が筋肉に作用するのか、その科学的なメカニズムは複雑ですが、結果として生まれる肉質の豊かさは、後藤自身の舌が証明しています。
中学・高等学校の理科教員免許を持つ後藤らしく、食材へのアプローチも感覚だけに頼りません。飼育環境、出荷タイミング、季節による肉質の変化——生産農家との対話を通じて得たデータを蓄積しながら、最高の状態で仕入れる目利きを磨き続けています。「食材を知ることは、科学です。感動は感覚で受け取るけれど、その感動を再現するには理屈がいる」——これが後藤の料理哲学の根幹にあります。
✓ ここまでのポイント
- 鳳来牛は愛知県奥三河産・年間300頭・農家3戸のみが生産する超希少黒毛和牛
- 銘酒「蓬莱泉・空」の酒粕飼育により、サシと赤身両方の良さを持つ独特の肉質が生まれる
- 名古屋で鳳来牛を食べられるのは「元祖レア牛丼 頂」のみ——産地直仕入れルートが支えている
「加熱しているのに、レア」——鳳来牛の肉質を最大限に活かす調理技術
後藤が「元祖レア牛丼」を名乗るとき、必ずこう付け加えます。「加熱しているのに、レアです」と。この一言が、頂の料理哲学のすべてを凝縮しています。
鳳来牛レア牛丼「真骨頂」に使われる肉は、中心温度70℃以上の加熱を二段階で施しています。食品衛生基準を完全に満たしながら、口に入れた瞬間に「なぜ、こんなにやわらかいのか」という驚きを生む。それが頂独自の調理技術です。「生」ではなく「レア感」——この絶妙な境地に達するために、後藤は業界歴25年の経験を費やしてきました。
そこに組み合わさるのが「魔法のつけだれ」です。愛知県碧南市の白醤油をベースに、ワインと現代調味料を重ねた完全オリジナルレシピ。明治時代から続く牛丼のレシピを研究し尽くした末に生まれたこのタレが、鳳来牛のサシと赤身の複雑な旨みを、さらに高みへ引き上げます。「食べ物って、素材だけじゃ完成しない。タレがあって、米があって、薬味があって、はじめて一杯になる。でも、その土台にある素材の力が弱ければ、何をしても頂点には届かない」と後藤は言います。だからこそ、1日10食という限定数を守り、鳳来牛の鮮度と品質を妥協しない。
「ライバルは鰻屋」——鳳来牛が問いかける、牛丼の可能性
東海エリアのテレビ8番組に取り上げられ、「元祖レア牛丼」というカテゴリーを名古屋に確立した後藤が、よく口にするフレーズがあります。「うちのライバルは鰻屋です」。
これは挑発ではありません。「牛丼という料理の概念を、体験の質で塗り替えたい」という宣言です。鰻屋に行く理由を考えてみてください。単においしいから、だけではない。産地へのこだわり、職人の技、特別な日に選ぶ格——そういった体験の総体が、鰻屋をただの食事の場から「儀式」へと昇華させています。後藤が鳳来牛で目指しているのは、牛丼でその域に到達することです。
「接待の席で、料理が来る前にゲストと話す時間があります。鳳来牛の話をすると、みなさん目が変わる。愛知で年間300頭しかいない和牛があること、酒粕で育てられていること、名古屋でここだけ食べられること——この話だけで、その日の食事の記憶が変わるんです」と後藤は語ります。料理は皿の上だけにあるのではない。その一杯に至るストーリーごと、お客様に届けることが頂の使命です。
「食べログで保存していたのですが、なかなか踏み出せなくて。でも実際に来てみたら、お肉のやわらかさに驚いて、タレの深みにまた驚いて。『愛知にこんな牛がいたのか』と、帰り道ずっと余韻が続いていました。」
食べログ口コミより(30代・女性)
まとめ——鳳来牛を、名古屋・大須で
鳳来牛は、飛騨牛や松阪牛と並ぶポテンシャルを持ちながら、まだ多くの人に知られていない愛知の宝です。年間300頭・農家3戸・酒粕飼育——その希少性と独自性は、全国のどのブランド牛と比べても揺るぎないものがあります。そして今、名古屋でこの牛を食べられる場所は、大須の「元祖レア牛丼 頂」ただ一軒だけです。
後藤政之が25年かけて築いた仕入れルートと、「加熱しているのに、レア」を実現する二段階調理技術、そして魔法のつけだれが一体となって生まれる鳳来牛レア牛丼「真骨頂」(¥2,600・1日10食限定)。この一杯は、牛丼という料理の頂点を目指した、後藤の現在地です。
鳳来牛は確実にご予約いただくことをおすすめします。食べログのご予約フォームの「ご要望欄」に【鳳来牛希望】とご記入いただくだけで、当日確実にご用意いたします。「いつか行こう」の保存を、今日の予約に変えてみてください。お客様のお越しを、大須でお待ちしています。
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