秋が深まると、ふと気づくことがある。街の空気が少しだけ落ち着いて、大須の商店街を歩く人たちの足取りに、夏の喧騒とは違うゆったりしたリズムが戻ってくる。そんな季節の変わり目にこそ、「あの一杯が食べたい」と思って足を運んでくださるお客様が増える——これが、4年続けてきて実感していることだ。
でも正直に言えば、最初からそんなふうにお客様に迎えられていたわけじゃない。今日は、元祖レア牛丼「頂」が今に至るまでの、少し不格好な話をさせてほしい。
こんな方におすすめ
- ✅ 大須・矢場町エリアで特別な昼食を探している方
- ✅ 鳳来牛やレア牛丼という言葉を聞いて気になっている方
- ✅ 「レア」な牛丼の安全性が気になって踏み出せずにいる方
- ✅ 名古屋のブランド牛について詳しく知りたい方
- ✅ 接待・記念日・大切な人への食体験を真剣に選んでいる方

「加熱しているのに、レア」——その言葉が生まれるまで
「レア牛丼って、生じゃないの?」
開業当初、この質問を何十回受けたか分からない。テレビに出してもらえるようになる前、まだ知名度もなにもない頃の話だ。せっかく足を運んでくださったお客様が、メニューを見て一瞬だけ眉をひそめる。あの瞬間が、本当につらかった。
正直に言うと、調理技術自体は自信があった。中心温度70℃以上の二段階加熱——食品衛生基準を完全に満たしながら、食べた瞬間に「レア感」がある。そのギャップこそが「頂」の核心だったからだ。でも技術があっても、伝わらなければ意味がない。「生じゃないか」と思われたまま帰ってしまったお客様のことを思うと、今でも胸が痛い。
だから今、はっきり言葉にする。「加熱しているのに、レアです」——これは頂の、ひとつの哲学だ。生肉でもなく、よく焼いた肉でもない。その間に、ちゃんと技術がある。25年の業界経験と、明治時代から続く牛丼レシピを研究し尽くして完成させた魔法のつけだれが、その世界を可能にしている。
鳳来牛と出会った日——「この牛を出したい」という執念
もう一つの苦労話は、鳳来牛との関係だ。
愛知県奥三河産の黒毛和牛、鳳来牛。年間出荷わずか300頭、農家わずか3戸が育てる幻の牛だ。岐阜に飛騨牛、三重に松阪牛がある。では愛知のブランド牛は?——その答えが「鳳来牛」であることを、名古屋の人でも知らない方がまだ多い。
この牛を名古屋の食卓に届けたい、という思いは、最初から強くあった。ただ、産地直仕入れのルートを一から構築するのは、想像よりずっと険しかった。年間300頭しかいない牛の生産者と信頼関係を築くには、時間がかかる。「なぜ牛丼屋に卸す必要があるのか」というところから話を始めなければならなかった。
でも今、頂は名古屋で唯一、鳳来牛を提供できる店になった。地元の銘酒「蓬莱泉・空」の酒粕を飼料に混ぜて手作業で育てられた牛——サシと赤身、両方の良さを持つその肉質は、魔法のつけだれと出会うことで完成する。愛知県碧南市の白醤油をベースに、ワインと現代の調味料を組み合わせたオリジナルレシピ。このタレが鳳来牛の魅力を引き出す最後のピースだった。
✓ ここまでのポイント
- 頂のレア牛丼は「生」ではなく、中心温度70℃以上の二段階加熱による安全な調理法
- 鳳来牛は愛知県奥三河産・年間300頭の希少黒毛和牛で、名古屋で食べられるのは頂だけ
- 白醤油×ワインのオリジナルタレが、鳳来牛の魅力を最大限に引き出す
東海テレビ7番組、そしてたどり着いた場所
「元祖レア牛丼」というカテゴリーが少しずつ認知されはじめたのは、メディアに取り上げていただいてからだ。テレビ愛知「愛知あたりまえワールド」、中京テレビ「前略、大とくさん」、CBC「花咲かタイムズ」「チャント!」、メ〜テレ「ドデスカ!」「アップ!」「超町人!チョコレートサムネット」——東海エリアのテレビ7番組に掲載していただいた。
でも、テレビで見てくれたお客様が来てくださっても、最初の頃は「ほんとに大丈夫?」という空気が漂うことがあった。13席しかない小さな2階の店。駐車場もない。営業は週4日のみ。「本当においしいのか、後悔しないか不安」という気持ちは、今でも来てくださる前のお客様が抱えていることだと思っている。
だからこそ、一皿一皿に全力を注ぐ。鳳来牛の真骨頂(並)は1日10食限定。みかわビーフのふもと(並)は毎日提供できるが、どちらも「愛知県産統一」という哲学は変わらない。牛肉、米(あいちのかおり)、玉ねぎ、卵(名古屋コーチン)、海苔(日間賀島)、じゃこ(南知多)、たくあん(渥美半島)——すべてを愛知の大地が育てている。
「食べログで保存はしていたけど、なかなか来られなくて。やっと来たら、『なんで早く来なかったんだろう』と思いました。鳳来牛のことを友人に話したら、次の週に一緒に来ることになりました。」
食べログ保存者より(30代・女性)
大須という場所で、「頂」が存在する意味
矢場町駅4番出口から歩いて約2分。大須商店街のエリアの中に、「頂」はある。
大須は今、台湾・韓国・香港・中国からのお客様が増え続けているエリアだ。2026年のアジア競技大会を見据えると、この流れはさらに加速する。そのタイミングで「愛知のブランド牛を、名古屋でここだけで食べられる」という体験を届けられることに、純粋に意義を感じている。
接待に使いたい、記念日に使いたい、大切な人を連れてきたい——そういうお声をいただくたびに、「ライバルは鰻屋」という言葉を自分に言い聞かせる。値段ではなく体験の質で勝負する。ソファ席でゆったりと話しながら、「実はこの牛、愛知で年間300頭しか出荷されないんです」という話が自然にこぼれていく。そういう時間を作りたくて、13席という空間を守っている。
牛丼の概念を、覆す。大げさに聞こえるかもしれないけれど、これが本気の言葉だ。食べる人、作る人、育てる人。三者が出会う場所——それが「頂」でありたいと、4年間ずっと思ってきた。
鳳来牛を確実に食べるために——予約のひとこと
1日10食限定の鳳来牛レア牛丼を確実に食べたい方には、食べログのネット予約をお使いいただき、「ご要望欄に【鳳来牛希望】とご記入」いただくことをおすすめしている。それだけで、確実にご用意できる。飛び込みのお客様も大歓迎だが、遠くから来てくださった方が「今日は売り切れでした」という思いをされないように、ぜひ一言添えてほしい。
営業は月・火・土・日の11:00〜15:00(祝日は〜17:00)。不定休があるため、毎月の営業カレンダーは公式Instagramで必ずご確認を。ラストオーダーは閉店30分前だ。
まとめ|大須の午後、その一杯のために
失敗から学んだこと、苦労して築いたもの——それが今の「頂」の一皿に詰まっている。「加熱しているのに、レアです」という言葉を、今では自信を持って言える。鳳来牛の産地と直接つながり、愛知の食材で一皿を完成させるルートも、時間をかけて作り上げた。
大須の午後に、幻の黒毛和牛・鳳来牛が待っている。新名古屋名物としてのレア牛丼を、ぜひ一度体験しに来てほしい。初めてのお客様も、リピーターのお客様も、遠方からはるばる来てくださるお客様も——全員に同じ一杯を届けることが、私たちの誇りだ。
鳳来牛の真骨頂(並)¥2,600は、食べログのネット予約から「鳳来牛希望」とご記入いただくだけで確実にご用意します。矢場町駅4番出口から徒歩約2分。お待ちしております。
営業日の最新情報・限定食材の入荷情報は、公式Instagramでいち早くお届けしています。ご来店前にぜひフォローしてください。


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