牛丼のつけだれにこだわる「頂」|碧南白醤油×ワインという逆転の発想

あれこれ

正直に言うと、最初のつけだれは「普通においしい」だけでした。

今から4年以上前、まだ大須でレア牛丼という概念を名古屋に根づかせようとしていた頃のこと。牛丼のたれといえば醤油・みりん・砂糖・酒——日本人なら誰もが知っているあの組み合わせ。明治時代から続く牛丼の歴史を研究し尽くして、私・後藤はその「王道」に何度も辿り着きました。でも、どこか引っかかるものがあった。

「鳳来牛のあの赤身の甘みと、酒粕飼育由来の上品なサシを、このたれで本当に活かしきれているのか?」

何十回も試作を重ねて気づいたのは、自分が「牛丼のたれ」という枠に自分自身を閉じ込めていたということでした。

こんな方におすすめ

  • ✅ 元祖レア牛丼「頂」のたれが何でできているか気になっている方
  • ✅ 牛丼に使うたれの話なんて聞いたことがない、と感じている方
  • ✅ 鳳来牛や愛知県産食材へのこだわりを深く知りたい方
  • ✅ 名古屋・大須のグルメとして「語れる一軒」を探している方
  • ✅ 接待・記念日に「なぜこの店なのか」を自信を持って話したい方
牛丼のつけだれにこだわる「頂」|碧南白醤油×ワインという逆転の発想 | 元祖レア牛丼 頂

「王道」に縛られた、試作の失敗期

業界経験25年。愛知県産食材の産地直仕入れにも長年関わってきた私が、なぜたれの開発にこれほど時間をかけたのか——それは鳳来牛という素材があまりにも「特別」だったからです。

愛知県奥三河に、年間たった300頭しか出荷されない黒毛和牛がいます。農家はわずか3戸。地元の銘酒「蓬莱泉・空」の酒粕を飼料に混ぜ込んで、手作業で育てられる幻の牛です。岐阜には飛騨牛、三重には松阪牛がある。では愛知のブランド牛といえば——それが鳳来牛なのですが、まだ多くの方に知られていません。

その鳳来牛を、名古屋で唯一提供できるようになったとき、私が最初に感じたのは「喜び」と同時に「重責」でした。農家3戸が丹精込めて育てたこの肉を、半端なたれで出すわけにはいかない。

最初の数ヶ月、私は王道の醤油ベースのたれを何パターンも試しました。濃口醤油、薄口醤油、たまり——組み合わせを変えるたびに試食し、スタッフにも意見を聞きました。でも毎回、同じ結論に辿り着く。「おいしい。でも鳳来牛じゃなくてもいいたれだ」と。

鳳来牛の肉質は独特です。サシの甘みと赤身の旨みが共存している。酒粕飼育由来のほのかな香り。重たくない後味。それは一般的な黒毛和牛とは明らかに異なる個性でした。その個性を「出してあげる」たれでなければ意味がない——そう考え始めたとき、発想の転換が起きました。

碧南の白醤油と出会った日

愛知県産食材の仕入れルートを深掘りしていくなかで、碧南市の白醤油と出会いました。白醤油は、小麦を主原料とする淡い色の醤油で、素材の色を生かしたい料理に使われることが多い。でも私が惹かれたのは色ではなく、その「旨みの立ち方」でした。

濃口醤油の力強さとは対照的に、白醤油は素材に寄り添うように旨みを引き出す。主張しすぎない。それが鳳来牛の繊細な個性と、なぜか重なって見えたのです。

試作してみると、手応えがありました。でも何かが足りない。たれとして肉を包む「丸み」と「奥行き」が出ない。そこで私が試みたのが、ワインの投入でした。

「牛丼のたれにワイン?」——周囲には笑われました。確かに、明治時代の牛丼レシピにワインは存在しない。でも考えてみれば、牛肉と赤ワインの相性は料理の世界では常識です。問題は「牛丼のたれ」という枠を外せるかどうかだけでした。

白醤油の繊細な旨み×ワインの丸みと酸味——この組み合わせに、現代の調味料を組み合わせて何度も比率を調整した結果、ある日突然「これだ」という瞬間が来ました。鳳来牛の赤身の甘みが前に出てきて、酒粕由来の香りがふわりと鼻をくすぐり、後味がすっと消える。「魔法のつけだれ」の完成です。

✓ ここまでのポイント

  • 鳳来牛は年間300頭・農家3戸・酒粕飼育という希少な愛知産黒毛和牛。そのポテンシャルを最大限に引き出すためにたれの開発を繰り返した。
  • 愛知県碧南市の白醤油×ワインという「逆転の発想」が、鳳来牛の繊細な旨みと相性抜群の「魔法のつけだれ」を生んだ。
  • すべての食材を愛知県産で統一するという哲学が、たれの素材選びにも貫かれている。

「全部愛知」でなければ意味がない

つけだれの完成と同時に、私はもう一つの決断をしました。牛肉だけでなく、一杯に関わるすべての食材を愛知県産で統一することです。

使う米は「あいちのかおり」。愛知県産のブランド米です。年度ごとの米の出来に合わせて炊き分けができるハイテク炊飯器を導入し、その年の米の個性を最大限に引き出します。玉ねぎは愛知県内の複数の契約農家から季節ごとに仕入れる「たま坊」や「へきなんサラダたまねぎ」。卵は名古屋コーチン卵(山田養鶏)。紅しょうがは稲沢市の木村農園の金時生姜をピクルス製法で仕込んだもの。海苔は日間賀島の三河湾刻み海苔。たくあんは渥美半島の古式渥美一丁漬け——。

「やり過ぎじゃないか」とも言われます。でも私の中では「やり過ぎ」ではなく「当然」なのです。鳳来牛を育てた農家3戸の方たちが、どれだけ丁寧にあの牛と向き合っているか。碧南の醸造家が白醤油に込めた技術の深さ。愛知の農家・漁師・醸造家が積み上げてきたものを、一杯の丼に集結させる——それが「頂」という店が大須に存在する理由だと思っています。

「食べる人、作る人、育てる人。三者が出会う場所」——これは私が大切にしている言葉です。お客様が一口たれをつけた肉を口にする瞬間、その背景には奥三河の農家・碧南の醸造家・愛知各地の生産者がいる。その繋がりをつけだれが媒介している。だから「魔法」なのです。

「加熱しているのに、レアです」——調理技術とたれの関係

もう一つ、このたれについて知っていただきたいことがあります。

「頂」のレア牛丼は、生ではありません。中心温度70℃以上の加熱を二段階で行い、食品衛生基準を完全に満たしています。それでいながらレアの食感と色合いを実現するのが、私たちの調理技術です。

この二段階加熱の工程において、つけだれの役割は非常に重要です。加熱によってどうしても生じる肉質の変化を、魔法のつけだれが補い、鳳来牛本来の旨みと食感を「レア感」として体感させる——技術とたれが組み合わさることで初めて完成する一杯なのです。

「加熱しているのに、レアです」というのは、私たちの誇りです。安全でありながら、妥協のない食体験を提供する。ライバルは鰻屋——値段ではなく体験の質で勝負するという哲学が、たれの開発の根底にもあります。

「食べログで保存していたものの、なかなか踏み出せなかったのですが、行ってよかったです。たれがとにかく上品で、鳳来牛の甘みと絶妙に合う。牛丼という言葉が追いつかない一杯でした。接待でも使えると感じました。」

食べログ口コミより(30代・男性)

まとめ:一杯のたれに、愛知の全部が宿っている

碧南の白醤油×ワインという組み合わせは、私が失敗を繰り返した末に辿り着いた答えです。「牛丼のたれはこうあるべき」という思い込みを手放した瞬間に、鳳来牛が求めていた相棒が見つかった。

このたれは、名古屋・大須の「頂」でしか味わえません。鳳来牛は1日10食限定。確実に食べたい方はご予約いただけると、しっかりとご用意します。食べログの予約フォームのご要望欄に【鳳来牛希望】とご記入いただくだけです。

月・火・土・日(祝日は〜17:00)のランチ営業、矢場町駅4番出口から徒歩約2分——大須観光のついでに、あるいはこの一杯を目的に、ぜひ足をお運びください。接待・記念日のご利用も心よりお待ちしております。

営業日は不定休があるため、最新のカレンダーは公式Instagramでご確認ください。

今すぐ予約(24時間受付) ※ご要望欄に「鳳来牛希望」とご記入ください

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